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昭和4年の江戸川乱歩

 この件です。

 株式会社藍峯舎:ポー奇譚集

 おかげさまで巻末解説「昭和四年のエドガー・ポー」、つつがなく校了となりました。

 タイトルから容易にお察しいただけるとおり、これもまたクロニクルの一篇。

 『ポー、ホフマン集』の刊行が昭和4年のことでしたから、こんなタイトルにいたしました。

 そういえば、来年は『ポー、ホフマン集』刊行九十年の節目の年。

 やっぱ「伊賀一筆」出してお祝いしなきゃならんか。

 それはともかく、昭和4年は乱歩にとって特別な年で、年明けから「孤島の鬼」を連載しつつ、「押絵と旅する男」「虫」を発表したあと「蜘蛛男」を起筆します。

 ではここで、「昭和四年のエドガー・ポー」に引用するつもりだったけどできなかった資料その二に行きます。

 ちなみにその一はこちら。

 2018年10月8日:初校ゲラ戻しました

 その二は、新潮社の「文学時代」昭和4年7月号に掲載された座談会「探偵小説座談会」です。

 「蜘蛛男」の連載開始は「講談倶楽部」8月号ですから、この座談会の時点で乱歩はいまだ通俗長篇を発表しておらず、加藤武雄、森下雨村、甲賀三郎とこんな会話を交わしていました。

加藤 探偵小説は是からどうなつて行くものでせうか? 大変漠とした問題ですけれども……。益々芸術的に進んで行く傾向と、益々大衆的になる傾向とあるやうですね。
森下 無論二た道に分れて行くでせうね。元来が大衆性の文学だから、その方へ進んでゆくのは勿論、一方では江戸川君みたいな探偵的興味と云ふよりも、寧ろ純文芸的傾向をもつたものも出て来るでせう。
加藤 江戸川さんなどは全然大衆を相手にしないのですか?
江戸川 そんなことはない。
甲賀 あなたは大衆性があるぢやないか。
江戸川 ぼくには幼稚な所があるから、大衆的だと思うね。


 乱歩はいまだ大衆的ではなかったわけです。

 この座談会はとても興味深く、昭和4年の探偵小説がいったいどんなものであったか、よく窺える内容となっております。

 小学館の『江戸川乱歩電子全集 第16巻』に収録されていますから、ご一読をお勧めしておきます。

 小学館:江戸川乱歩 電子全集16 随筆・評論第1集

 この巻には私のインタビューも収録されているわけですが、「伊賀一筆」を出すとしたらあれも当然転載せにゃならぬであろうな。
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中 相作

Naka Shosaku

Author:Naka Shosaku
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